夜道

夜。大きな公園の中央を貫いている舗装された道を歩きながら、ふと、映画「ベンゴ」のエンドロールを思い出した。ロマの血をひくトニー・ガトリフ監督の作品。抗争、“民族の血”  を感じさせるフラメンコ。葬儀のシーンで始まり、熱気を帯びた歌声と踊りがあり、主人公は死んだ娘を忘れられず、最後にもまた、死がある。生命力溢れる描写と “死” が混在していた。エンドロールでは、夜の暗がり、一本道を照らしながら走る車、その車中からの視界の映像が流れる。照らされたところはうっすらと明るいが、その先は夜の闇である。その景色が視界の後方へと流れる。

夜の公園の薄暗がりを歩きながら、ふいにそのエンドロールを思い出したのだった。ずいぶんと久しぶりだった。

 

 

2015/08/09